内臓脂肪型肥満者における逆流性食道炎発生リスクに関する観察研究

研究責任者

京都大学医学部附属病院 先制医療・生活習慣病研究センター 特定准教授 大橋 真也

研究の目的

任意型検診受診者を対象に、画像データ、臨床データを用いて、内臓脂肪型肥満と逆流性食道炎の関係に関する知見を探索するためにこの研究を実施します。

研究期間

この研究を実施する期間は2020年の倫理委員会で承認された日から2023年3月31日までの予定です。

研究の概要

逆流性食道炎は、1990年以前は日本では有病率の低い疾患でしたが、1990年代後半より有病率が著明に増加し、現在では上部消化管内視鏡検査において最も頻繁に遭遇する上部消化管疾患の一つです。日本消化器病学会編集のGERD診療ガイドライン2015によると、日本人における(びらん性)逆流性食道炎の有病率は10%と推定されています。
慢性的な逆流性食道炎患者は、食道上皮にバレット上皮と呼ばれる粘膜変化が起こり、そのような粘膜から食道腺癌という癌が発生することが知られています。日本人も、この食道腺癌の発生頻度が高くなっていることが注目されており、こうした観点から逆流性食道炎の予防が健康増進に重要です。
肥満は逆流性食道炎の発生と関連するということが、欧米の研究では明らかとなっていますが、日本ではこれまでに肥満と逆流性食道炎の因果関係についてはまだ十分に分かっていません。私たちは、肥満の中でも特に内臓脂肪型肥満が逆流性食道炎の発生に深く関与しているのではないかと考え本研究の着想に至っています。この検討から得られる知見は、がん化リスクの囲い込み、早期発見、さらにがん化の予防に貢献すると考えられます。そこで、本研究では内臓脂肪肥満に関する項目を中心に、逆流性食道炎との関連を、任意型検診受診者を対象として統計的手法により検討します。本研究は、2017年4月1日から2021年6月16日までの間にハイメディック京大病院で検診を受け、「先制医療・生活習慣病研究」(承認番号R0619)の参加同意書に同意をされた方を対象とし、上部消化管内視鏡検査、内臓脂肪CT検査、年齢、性別、BMI、内臓脂肪、血液検査数値、問診事項の結果をもとに、逆流性食道炎の発生リスクを予想するスコア化の構築を目指し、このスコア化の妥当性を検証することを目的とします。なお、データは匿名化を行ったうえで、厳重に管理し、診療情報の解析などは2022年3月までには調査を終了する予定です。

倫理審査委員会での審査と研究機関の長による承認について

この臨床研究は、京都大学大学院医学研究科・医学部および医学部附属病院 医の倫理委員会の審査を受け、研究方法が医学的に適切であり、患者さんの人権が守られていることが確認され、研究機関の長(附属病院長)の承認を受けています。

利用する情報について

この研究では、京都大学医学部附属病院 先制医療・生活習慣病研究センターで任意型検診を受けられ、「先制医療・生活習慣病研究」(承認番号R0619)の参加同意書に同意をされた方を対象とします。対象者の方の検診で用いられたすべての検査結果、京大病院のカルテで参照できる情報を利用します。今回の研究のために新たに追加の検査を受けていただくことはありません。また、この研究に用いられる情報は個人が特定されない方法で収集、解析され、京都大学医学部附属病院の内部で厳重に管理・保存されます。お名前、住所などの個人情報が本研究で利用されることはなく、あなたのプライバシーは厳重に守られ一切公表されません。

情報管理責任者: 京都大学医学部附属病院 臨床情報腫瘍学講座 特定准教授 山田 敦

研究計画書および研究の方法に関する資料の閲覧について

この研究の内容をより詳しくお聞きになりたい場合には、研究に参加されている他の研究対象者の個人情報等の保護や研究に支障が生じない範囲内で、研究計画書や本研究に関する資料を閲覧することができます。ご希望される場合には、下記までお問い合わせください。

研究資金

本研究は医療法人社団ミッドタウンクリニックにより提供された共同研究費「生活習慣病と合併症の発症・進展要因と予防戦略構築に関する研究」により実施しています。本研究で経済的利益は生じません。

利益相反について

利益相反とは研究成果に影響する可能性のある利害関係をいいます。これには金銭及び人的、物理的関係を含みます。この研究は医療法人社団ミッドタウンクリニックより研究費の提供を受けて実施しますが、資金提供者の意向が研究に影響することはありません。この研究では同社から非常勤医師として受け取る収入が100万円を超えて受け入れている研究者がいます。また、同社から資金提供されている先制医療・生活習慣病研究センターに雇用されている研究者がいます。上記の医療法人社団ミッドタウンクリニックと研究者との間に存在する利益相反については、「京都大学利益相反ポリシー」「京都大学利益相反マネジメント規程」に従い、「京都大学臨床研究利益相反審査委員会」において両者の関係について審査しています。

この研究への参加の拒否について

この研究の対象者に該当する場合であっても、ご希望があればその方のデータをこの研究に用いることは致しません。その際は、いつでも下記「研究責任者」「相談窓口」までご連絡ください。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先

〒606-0807 京都市左京区聖護院川原町54

京都大学医学部附属病院 先制医療・生活習慣病研究センター:大橋 真也

Tel: 075-754-0073, FAX: 075-754-0076

京都大学医学部附属病院 相談支援センター

Tel: 075-754-4748, E-mail: ctsodan@kuhp.kyoto-u.ac.jp